「納豆が健康に良い」のはなぜ?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/05

 

 納豆の健康効果に、新たな科学的根拠が追加された。井田 智章氏、居原 秀氏(共に大阪公立大学)らの研究グループは、納豆の発酵過程において、抗酸化作用などを有する「超硫黄分子」が増加することを明らかにした。納豆には超硫黄分子が多く含まれるとされているが、その詳細は明らかになっていなかった。本研究結果は、Nitric Oxide誌2026年2月号に掲載された。

※:システインなどのチオールに硫黄原子が1個以上付加したパースルフィド、ポリスルフィド型の反応性硫黄分子群。近年、酸化還元の制御やタンパク質修飾を介した生理作用が注目されている

 研究グループは、3種類の大豆品種(フクユタカ、ユキシズカ、スズオトメ)および市販の納豆4製品について、解析を行った。自家製納豆も作製し、発酵日数(0~6日)ごとに解析した。誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を用いて総硫黄含量を定量し、質量分析の手法を用いて超硫黄分子の種類や量を調べた。また、分子サイズによる分画(不溶性画分、可溶性高分子画分、可溶性低分子画分)を行うことで、発酵に伴う硫黄代謝物の動態変化を詳細に調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・乾燥大豆の品種間(フクユタカ、ユキシズカ、スズオトメ)で超硫黄含量に差はみられなかった。市販納豆では、製品ごとにばらつきがあったものの超硫黄含量が乾燥大豆よりも多かった。また、総硫黄含量に対する超硫黄分子含量の割合は、市販納豆が乾燥大豆よりも多かった。
・自家製納豆の作製過程において、総硫黄含量は発酵による有意な変化がみられなかった。一方で、超硫黄含量は発酵が進むにつれて増加した。オートクレーブ直後(発酵0日目)、発酵2日目、発酵6日目において、乾燥大豆よりも超硫黄含量が有意に多かった。これは、加熱処理および納豆菌による発酵により、大豆に含まれる既存の硫黄化合物が超硫黄分子へ変換されていることを示唆するものであった。
・発酵0日目において、超硫黄分子は主に不溶性画分に多く含まれていた。発酵が進むにつれ、超硫黄分子の分布は不溶性画分から可溶性画分、とくに可溶性低分子画分へとシフトした。

 本研究結果について、著者らは「発酵が超硫黄分子の構成やバランスを大きく変化させることを明らかにしたものである。超硫黄分子は心血管疾患に対して保護的効果を示す可能性が報告されており、納豆の摂取は、心血管疾患リスクの低下などと関連することが疫学研究で知られている。そのため、納豆に含まれる豊富で多様な超硫黄分子が、その健康効果の一因である可能性が示唆された」と考察した。また「納豆由来の超硫黄分子がヒトの体内でどのように吸収され、作用するのか検討することが今後の課題である」としている。

(ケアネット 佐藤 亮)